• テキストサイズ

鳥になった少年の唄

第2章 再会


「高校を卒業したらすぐに話は進むと言ったのは潮里の方だろう」

「卒業まで3年もあるんですよ?その間に何があるかもわからないのに…」

「何があっても必ず迎えに行くと言っただろう。それとも潮里は僕の言うことが信じられないのかい?」

「…そんなことはありません」

実際「彼」ならそのくらいのことはやってのけるだろう。私の言葉に「彼」は満足気に笑う。そして私の肩を抱き寄せた。

「いい子だ潮里。好きだよ。早く僕だけのものにしたい」

そう囁く「彼」の腕の中で小さくため息を吐く。抵抗するだけ無駄なのはわかりきっている。私が何も抵抗しないとわかっていて「彼」は短く触れるだけのキスを落とした。

「人前では止めてください」

「人前でなければいいのかい?」

イタズラを思いついた子供のように笑いながら、「彼」は私を解放する。

「見送りありがとう。潮里も気をつけて帰るんだよ」

「行ってらっしゃい征十郎さん。お気遣いありがとうございます」

名残惜しそうに私の頬にそっと触れてから、「彼」は出かけて行った。
/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp