第2章 再会
「高校を卒業したらすぐに話は進むと言ったのは潮里の方だろう」
「卒業まで3年もあるんですよ?その間に何があるかもわからないのに…」
「何があっても必ず迎えに行くと言っただろう。それとも潮里は僕の言うことが信じられないのかい?」
「…そんなことはありません」
実際「彼」ならそのくらいのことはやってのけるだろう。私の言葉に「彼」は満足気に笑う。そして私の肩を抱き寄せた。
「いい子だ潮里。好きだよ。早く僕だけのものにしたい」
そう囁く「彼」の腕の中で小さくため息を吐く。抵抗するだけ無駄なのはわかりきっている。私が何も抵抗しないとわかっていて「彼」は短く触れるだけのキスを落とした。
「人前では止めてください」
「人前でなければいいのかい?」
イタズラを思いついた子供のように笑いながら、「彼」は私を解放する。
「見送りありがとう。潮里も気をつけて帰るんだよ」
「行ってらっしゃい征十郎さん。お気遣いありがとうございます」
名残惜しそうに私の頬にそっと触れてから、「彼」は出かけて行った。