第2章 再会
できることなら戻りたくはなかったが、そうもいかない。頃合いを見計らって会場へ戻ろうとすると、「彼」は待ちかねたように迎えに来ていた。
「潮里、余計な気を回すことはない。彼女のことは社交辞令だ」
「彼」は私が気を使って席を外したと思っているようだ。私は単にあの場にいたくなかっただけなのだが。
「わかっていますからご心配なく。それより浜津のおじさまの方はよろしかったんですか?」
「ああ、それは問題ない」
仮にも親戚筋だろうに、そんなに簡単に切り捨てていいのだろうか。浜津のご当主も由梨華嬢もさぞかしご立腹だろう。だが「彼」は気にも留めていないようだった。「彼」の中では浜津家といえども有益でなければ簡単に切り捨てる対象になり得るのだろう。いつか私より有益な駒が現れたら、「彼」は私のことを切り捨てるのだろうか?答えはわかりきっている。なのに何故だろう、胸が少しモヤモヤするような気がした。
会場へ戻ると何事もなかったかのようにパーティーは続いていく。両親の名代として参加している以上は役目を果たさなければならない。作り笑いを浮かべながら同じような内容の会話を繰り返す。「彼」は相変わらず私を離そうとしないので何度か敵意のある視線を感じることもあったが滞りなくパーティーは終わった。