• テキストサイズ

鳥になった少年の唄

第2章 再会


「何か面白いことでもあったのかい?」

お弁当を食べながら、「彼」が問う。

「何が、ですか?」

いきなり何を言っているのかわからず、こちらからも問う。

「練習中笑っていただろう?君の笑顔を見るのは久しぶりだからね、何があったのか気になってね」

まさかあの距離で気づいていたとは。どれだけ私の方を見ていたのだろうか。呆れるのを通り越して笑ってしまう。

「そのことでしたら、ちょっと珍しいものを見つけてしまっただけですよ」

「珍しいもの?一体何だ?」

「皆さんか練習に集中している中で、一人だけ集中しきれていない選手がいたものですから」

「それは聞き捨てならないな。一体誰だ?」

やはり自覚は無いらしい。自分のことを言われているとは思っていないようだ。

「征十郎さんが一番良くご存知だと思っていましたが」

「僕が?どういうことだそれは?」

「征十郎さんでもわからないことがあるんですね。

「僕の質問に答えろ、潮里」

「答えています。むしろ私には何故貴方がわからないのかがわかりません。」

いつもの「彼」ならとうに気づいているだろう。だが今はまだ気づいていない。本当に珍しいこともあるものだ。「彼」は食事の手を止めて考えこんでいる。
/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp