第2章 再会
高校生、というだけでこれほど違うものだろうか。バスケの練習を見るのは去年の夏以来だ。その時も余りの迫力に驚いたが、今日のは段違いだ。チームが違うのだから当たり前だが「彼」の動きも以前とはまるで違う。余りの迫力に言葉を失う。これが王者と呼ばれる所以か。
恐らく練習としては相当厳しいものだろう。そのくらいは素人の私でもわかる。だが部員達はそんなことを微塵も感じさせず当たり前のようにメニューをこなしていく。ふとあることに気がついた。朝、話した3人は他の部員より強い。頭一つ飛び抜けている。彼等が「無冠の五将」なのだろうか。確か洛山には3人いると聞いた。だとしたらこの迫力にも納得がいく。無冠の五将3人にキセキの世代。ほとんど反則のような気もするが、それだけの人材が集まるのも王者の王者たる所以だろう。
「彼」の方へ眼を向けると、「彼」もこちらを見ていた。また、か。これで何度目だろう。練習中だというのにもう何度も眼が合う。私がいるのを確認でもしたいのか。練習に集中しろと言っておきながら当の本人が一番集中できていない。それがなんだかおかしくて、笑ってしまった。