第2章 再会
1人取り残されると待つ時間というものは長く感じるものだ。まだ5分も経っていないのに随分長く待っている気がした。あちこちから視線を感じる。高校の敷地内に明らかにそこの生徒ではない者がいれば当然なのかもしれないが、気分の良いものではない。
私は小さくため息をつくと、「彼」が歩いていった方向へ目をむけた。誰かがこちらへ向かってくる。この体育館はバスケ部専用だと言っていたから、おそらくバスケ部の部員だろう。長身にサラサラの黒髪、整った顔立ち。私に気がついて近寄ってきた。
「あら、あなた洛山の生徒じゃないわね。どうしてここにいるの?」
口調が…なんというか個性的だ。
「人を待っているんです」
「もしかして征ちゃんのファンの子かしら?だったら悪いこと言わないわ。見つかる前に帰った方がいいわよ、あなたの安全のために、ね」
何やら物騒な話を聞いたような気がする。だが、「彼」ならやりかねない。
「お心遣いありがとうございます。でもここで待ち合わせているので動く訳にはいかないんです」
下手に動けば私の安全に関わる。「彼」はそういう人だ。
「…そう、無事に待ち人に会えるといいわね」
何か含みを持たせた言い方で彼がそう言いかけた時、鋭い声を浴びせられた。