第2章 超能力者
俺は黒のスニーカーを履き、玄関のドアを開けた
普通なら、すぐに外へ出るはずだが
俺の家の玄関は違う。
家から出れば、すぐにDEST本部の任務指令室に繋がっている
DEST本部が用意した超能力者専用の隔離されたマンションに俺は住まわされ、玄関から本部に直接行けるようにされているんだ
おかげで、本部に行くのに時間を割かなくてもいいし、労力もいらない
超能力者も、DEST本部の連中も楽できるシステム・・・
といっても、このシステムが実践されているのは24時間交代制で空間遮断の能力者達が働いてるから。
好きな場所と人を自由自在につなぎ合わせる能力
それが「空間遮断」・・・テレポーテーションの類
俺のように、裏社会の掃除よりも
表社会に出て活用される力だな
俺はいつもこういう能力は便利だな、と思いながら任務司令室に向かう
すれ違う能力者達に適当な挨拶くらいはかけながら。
「よぉ、デビット!
今日も仕事か?」
俺に声をかけてきたのは黒髪にB系ヘアーの黒人
体格は立派な大人だが、顔と声は俺と同じくらいの青年
「おう、タイロン。
お前こそ、仕事か?」
タイロンは陽気な口調で俺の質問に答えた
「二十連勤だ!
どうだ、すんげぇ~だろ?!」
「よくそんな働くな・・発火能力ってそんなに必要とされてんのか?」
「発火能力を馬鹿にすんなよぉ?!
人類、どこでも火を必要としてんだ。
焼却しきれないゴミを高熱で灰にする、自然災害で都市部から切り離され、ガスや電気が通らなくなった村や町の住人に火を・・あとはパフォーマンスに呼ばれる!」
ベラベラとしゃべるタイロンに呆れた俺は
「そうかよ、んじゃ、がんばれ。」
と言ってすぐにその場から離れた
「あ、てめぇ!
最後まで話聞きやがれ~!」
叫びながら俺を呼ぶタイロン
だが、俺にはただの雑音にしか聞こえない
正直、ああいううるさい奴は大っ嫌いだ。