第2章 超能力者
「デビット、タイロンの話を最後まで聞かないのですか?」
「聞いてどーすんだよ」
クロードはイライラしている俺に、空気のよめない問いをかけてきやがった
「話を聞くことも、疲労の回復につながります。」
「・・・タイロンの疲労に、だろ?
それなら俺は関係ないね。
あいつの話なら他の奴でも聞いてやれる、そうだろ?」
「彼は、貴方に話を聞いてもらいたかったのです。
例え、貴方の気分が乗らなくても、我慢して聞けば
デビットは忍耐というすばらしいものが身に着きます。
忍耐は、今のデビットに一番必要なものだと感じます。」
クロードの話に、俺は更にイライラを募らせながら
黙って歩いていく
こいつの言うことは嫌になるほど正論だ
だからこそ、聞いてて呆れる時もあれば
ストレスたまる事もある
正論なんて、俺にとってはただの奇麗ごとだ
少なくとも、クロードよりは長生きしてる俺は
正論を掲げても平和にならない事は知ってる
そういう社会を見てきたからだ。
「・・・俺に忍耐力がたりねぇのなら、お前には人間らしさが足りねぇな」
「・・・・。」
俺の言葉に、クロードは一瞬で黙った
「お前が少しでも人間らしく慣れた時は、タイロンでも真栄田理恵でもどんな奴の話でも聞いてやるよ。」
「・・・それは、私を試しているのですか?」
「さぁ、どうだろうな」
しらをきる俺に、クロードはまた黙って後からついてきた
鉄とコンクリートで作られたシェルターのような本部の廊下をわたり、俺とクロードは一つの大きなドーム型の空間にたどり着いた
数人の超能力者と監視役のサイボーグがヘッドホンをつけて各小部屋に座っている
ここは任務指令室
普通なら何人か管理人が書類を通して任務の詳細を伝えるが
ここでは管理人はいない
別の場所にいる管理人がヘッドフォンを通して伝えられる
流れはこうだ
電子掲示板に登録されている任務を確認し
受注したい任務があれば、受注申請を出す
申請が許可されれば、指定の部屋にいき
ヘッドフォンを装着して詳細を伝えられる