第3章 *夏風邪[沖田総悟]
「、」
不意に総悟が口を開いた。
思いの外、優しい声。
「してほしいことがあるなら、
言わねェとわかりやせんぜ」
どうやらお見通しだったようだ。
…心配してほしかったことが、
優しくしてほしかったことが。
伝えようと口を開くたびに嗚咽が邪魔をする。
不意に熱いものが喉からせりあがってきて弾けた。
泣きじゃくる私の頭に暖かいものが触れる。
初めての感覚だったけれど、
それは紛れもない、総悟の手だった。
「…うっ、そっ…ごお…」
ただ、髪に触れる総悟の手に安心したというか。
「心配して、ほしい…」
ビックリするくらい小さく震えていたけれど、
言葉が、涙が、止まらない。