第3章 *夏風邪[沖田総悟]
「……ェ、…おい、起きなせェ」
目を開けると、
…そこには一番会いたかった人がいた。
ただそこで新たな展開などある、なんて甘い恋なんかではない訳で。
「バカは風邪引かねぇって言うけどバカでも風邪引くんですねィ」
呆れたように笑われ、私が黙っていると「換気しねェと」とかほざきながら窓を開けられる。
…寒い。
悪寒がする。
しんどい。
苦しい。
いつもなら軽く流すはずの言葉も風邪のせいでチクリと胸に刺さる。
「…っ」
もう嫌だよ。苦しいよ。
何でこんなにこいつを好きになったんだろう。
悔しくて、胸がズキズキして…
彼に背中を向ける。
顔を見られたくなかった。
…泣いてしまったから。