第2章 *擦れ違い[鬼灯]
「…確かに、ストーカーなのかもしれませんね」
いや、他人事みたいに言ってんじゃねぇよ。
脳内でハリ〇ンボンのは〇なよろしく突っ込む。
「いい年して彼女いないからって嫉妬ですか!!
いい加減迷惑なんでっ、」
やめてください。
その言葉をくっと飲み込んだ。
滅多に表情を崩さない鬼灯さんの顔が、
苦しげに歪んでいた。
「……嫉妬、ですか。
間違ってはいないです」
「はぁ?」
「私もイライラしたんですよ、一番負けたくない相手に負けて」
あくまで淡々とこいつは話し続ける。
ふと目があったときには、
いつもの憎たらしい顔に戻っていたけれど。
「…見苦しいところをお見せしました。
もうしませんから」
では、失礼します。
背中に鬼灯の紋章が、ゆっくりと遠ざかる。
あとにはいつの間に計算したのか、わたしのアイスティー代が置いてあった。