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出会えた奇跡

第2章 存在理由


そうして私はベッドに入って考えたのだ
この幸せがこの今が家族に分け与えることが出来ていたらと
ふかふかのベッドに入り掛け布団を握りしめた
家族を思い出して涙が零れ落ちた
何もなくても支え合っていた私たちの絆だけは消えない
例え今、この世界に見えないとしても…

「クー…クー…どうしたの?全く仕方ないわね」

いつもなんだかんだで私の我儘を受け入れてくれていた優しい人

お母さん

「クー何をしてるんだ?どれお父さんにもやらせてみなさい」

私にいつもつっかかってきた実は寂しがりやで好奇心旺盛な人

お父さん

「クーお前!またやったな!お返しだ!」

面倒見がよい私が悪戯をしても怒らないで遊んでくれた人

兄さん

「クー姉ちゃん…大丈夫…大丈夫だからね。僕家族がいれば何も要らない」

食糧不足や危機が迫ってもしっかりと強い意志があった人




皆…皆に会いたいよ
家族に会いたいよ
どうしたら会えるかな
目を瞑って夢を見たら会えるかな
どうか、どうかもう苦しみませんように
私の家族が、もう傷つくことがありませんように
願うことはいくらでも出来る
けれど現実というのは、あまりにも残酷だ



「クー!!やめて!その子だけは!私の!!」

初めて聞いた母の悲痛な叫び声
私は何者かに捕らえられていた
銃を頭に突きつけられて震えることしか出来ない
おおきなしっかりとした手に押さえつけられて身動きすらとれない
その時に私の前にふってきたのは銀色の刃だった
血が溢れ出す赤黒いものが床に流れ落ちていく

「ぐっ!!この奴隷があぁあぁぁ!!」

やめて、やめて
もうやめて
その人を母に手を出さないで!!


「はっ!」

爆撃音のおかげで夢から覚めた
いつの間にか寝てしまっていたらしい
それにしても嫌な夢だった
思い出したくもないあの日々が鮮明に蘇った


そして現在に至る
シエル様やセバスチャンさんを見ていると何故か心から安心出来る、させてくれているのかもしれない
だから自分自身に気遣うことが出来るのだ

「あ、あの私、顔洗って来ますね」

「そうしたら屋敷を案内する。屋敷内を覚えることもお前の務めだ」

シエル様の凛とした声が私に初めての仕事をくれた
嬉し恥ずかしい気持ちで後ろを振り返って私は貴方に笑顔を捧げた

「はい!」

使用人としての生活が始まる
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