第2章 存在理由
顔を洗い終えた後、部屋を出てセバスチャンさんとシエル様の後を追うように着いて行く
屋敷内を案内すると言っていたが何でも3人の使用人がいるとか
私は気になってワクワクしっぱなしだった
「まず庭から案内いたしますね」
屋敷の外にある広大な庭は色々な草花が生えている
ここの庭師さんはきっと素晴らしい技術を持っているに違いないと期待した
セバスチャンさんに言われたが陰からこっそりと見ていてほしいと言われたので木の陰から覗くことにした
「よーし!今日は庭を綺麗にするぞー!うーん、この木は少し邪魔かな…」
黄色い髪をしたヤンチャそうな庭師さんは木に手をかけて引っ張り出す
そうすれば根っこまであっという間に抜いてしまった
それは、まるで木が動いているかのように見える
「へぇ…庭ってあーやって綺麗にするんですね!」
「いや、シィラあれは真似しない方がいい」
次に行ったところは厨房で料理を作ろうとしているところだ
何やら銃のようなものを持って生肉に向けている
狙いを定めた調理師さんは一気に引き金を引いた
ドーーン!!
「調理って、あぁやってやるんですねー!勉強になります!」
「シィラあれは…真似しないほうがいい」
最後にメイドさんがいるということで洗濯室に向かう
丁度洗濯物を洗おうとしているところでシーツを何枚も詰めている
そのせいで洗濯機からはみ出し蓋が上手く閉まらなくなっているようだが御構い無しに洗剤を入れてスイッチを入れた
「あわわ!み、水が溢れ出してきましただー!故障ですだ!」
「わぁ、洗濯機ってあぁやって使うんですね!」
「シィラ…僕は、もう同じ台詞を言いたくはない…」
そうして屋敷の案内が終わりシエル様の部屋に3人で入る
私的には勉強になったと思ったのだがセバスチャンさんが異常なほどキラキラして微笑みながら私に言ったのだ
「今日見たことは全てお忘れください」
「え、え…?はい?」
シエル様もため息をつき椅子に座り机に頬杖をついている
私には何が起きているのかよく分からないが、とりあえず楽しい日だった
「セバスチャン…もっと他の方法はなかったのか…」
「…失敗例を見せるのもいい勉強です」
その後、二人の溜息が暫く続いたのだった