第3章 貴方への思い
今回の仕事は、とある宝石館に寄ることらしいのだが、その宝石館に入るのには特別なことをしなければならないようで私が連れ出された理由はそこにもあるらしい
けれど宝石館に探りに行く前に、その宝石館のオーナーである人の主催パーティがあるらしい
まずは、そのパーティに出席して人の様子を探ったりして周囲の様子を見るそうだ
だが館内に眠る一番の輝きを持つ宝石は誰も触れることが出来ないのだとか
何でも先代の急死によりガラスケースの開け方が誰にも教えられることがなかったという
鍵でもなければ装置のボタンがあるわけでもない、近くで見ていた今のオーナーである人にも開け方がさっぱり分からないらしいのだ
そういう訳で謎に包まれた宝石…触れようとした者は先代の呪いで死ぬとも言われている
難易度が高い任務なのだなとセバスチャンさんの説明を聞いていて思う
私に、こなすことが出来るのだろうか
「…オーナーでさえ触れることの出来ない呪いの宝石、か。行ってみないことには、どう言っても仕方ないが…セバスチャンどう思う?」
黒いマントにシルクハットを被ったシエル様がセバスチャンさんを見上げて冷静な口調で問いかけた
そうすればセバスチャンさんは手を顎に当てたようにして考え始める
このような事件に毎回関わっているのだろうか、いくら女王の番犬とはいえ、まだ幼い姿
子どもなら、もっと普通にはしゃいだり笑ったりするものではないのかと主人の表情と態度を見て思った
これは重大な事件なのだろうから楽しんでいる暇はないというのは分かるが、あまりにも荷が重すぎないかと苦しくなる自分がいる
私はシエル様よりは年上だと思うが中身は彼よりも幼いことだらけな気がした
「まぁ、殺人…も考えられなくはないですね。裏には必ずカラクリがありますから…それを少しずつ探る…まずはそうしてみる他ありません。ですが…」
どうにかして開けようとして一週間に一度くらいは試すことがあるらしい
呪いのせいもあって多くの回数近寄るのは危険だということになっているようだ
そしてオーナーと見回りが試す際に、急に何かに引っかかったようにして倒れる見回りの者
オーナーは無事だが連れて行かれる見回りが、いつもその場で倒れて動かなくなる
セバスチャンさんは、こう続けた
「不思議な話ですね」
私はこの場で始めて口を開いたのだった
頭では謎が渦巻いていた