第1章 6粒の幸せ〜仁王 雅治編〜
うとうとと心地いい眠りに体を委ね、少し経った頃。
それは唐突に訪れた。
ぼすっ!!!
「っ?!」
突如、お腹の辺りに感じた衝撃。
慌てて体を起こすと、俺の下腹部にうつ伏せに倒れている人物。
………?
状況が全く読み取れない俺の目の前で彼女は長い髪を揺らしながら、体を起こした。
「…いた……」
いや、それはこっちのセリフじゃ…。
地面に打ったのか、自分の肘を撫でながら彼女はぼそりと呟くとこちらに顔を向けた。
「こんな所で何してるの?」
「そのセリフ、そっくりそのままお返しするぜよ」
きょとんと首を傾げる彼女に言葉を返す。
眠りを妨げられた俺の気持ちも考えて欲しい。
ふるふると首を振って髪についた草を払い落とす彼女の姿が猫のそれと重なった。