第1章 6粒の幸せ〜仁王 雅治編〜
やがて全ての菓子パンを平らげたブン太がうんと伸びをした。
それと同時に昼休み終了の時間を告げるチャイムが鳴り響く。
「仁王、次の時間はちゃんと出るんだろい?」
「あぁ。それに屋上はちょっと肌寒いからの」
白い袋にゴミを詰め立ち上がったブン太に続き、俺も柵にもたれかかっていた体を起こす。
…次の時間は世界史じゃったな。
ただでさえ午後は眠たくなるというのに。
あくびを噛み殺しながら歩いていくブン太の後ろをゆっくり追いかける。
これはもう寝るしかないな。
起きて頑張ろうなどと言う選択肢は俺の中には無い。
それに大体の授業で眠っている事もあり、もう何を言っても無駄だと先生達も分かっているのだ。