第4章 出口
「 ミモザ・・・ 変わっちまったな。いや、変えられた、か」
キルアくんは大きく息を吐いた。
真っ直ぐな目で、私を見つめる。
「やっぱり針を仕込んでやがる。最悪だな」
キルアくんは、私の髪を触っているようだ。
私は気持ちよくなり、目を瞑った。
「もういいぜ、 ミモザ 」
しばらくして、キルアくんの声で目を開いた。
目の前の少年は、以前と違って見えた。
「キルアくん、背、伸びた?」
「まあ、ちょっとは、な」
心地良い空気が私たちの間に流れた。
「そうだ、俺、急がなきゃならないから、またな。ここを出て、今度は変な男に引っかかるなよ、 ミモザ 」
さっそうと部屋の出口へ向かうキルアくんに、「ありがとう」と声をかけた。
「おう」
キルアくんの背中は、やっぱり大きくなったように見えた。