第3章 初めての夜と、それから
「そうやって、人をからかって・・・」
「俺が、いつ、ミモザをからかったりした?俺はいつだって真面目だよ」
イルミの胸は大きく、温かい。
どくんどくんと脈打っているのは、イルミの心臓だろうか、それとも私?
背中に回された手が、だんだんと下半身のほうへ動いていくのに気づいた。
「イルミ!あせらないって言ったじゃない!」
「確かに。でも、じっと待つとは言ってないよ。 ミモザも、ある程度覚悟して来たんでしょ?ああ、いい匂いがするね 」
イルミの手から抜け出そうと身をよじるが、とても歯が立たない。
「覚悟なんてしてない!ねえ!ムーピーゲームは?」
「うん、後でね。大丈夫だよ、 ミモザ 。初めてなんでしょ?ゆっくり、優しくするから」
あんたは楽観的すぎる、と母からよく叱責された。 そのたびに、私は「それが長所なんだよ」と言い返していたけれど、これがその結果だ。
大人しく注意を聞いておくべきだったのかもしれない。
長い夜はゆっくり更けていった。