第2章 似た者同士(イルミ/妹/近親相姦)
「ねぇ、リネルちゃん。どうかしらこの人は、なかなか素敵な人じゃない?」
その日の昼。
広い居間でキキョウが数冊のお見合い写真を広げ、リネルに楽しそうな声をかけてくる。
「んー、そうかな?ママの好みよくわかんない」
「あら、私の好みじゃなくて貴女に会いそうな方を探してるのよ」
「お見合いなんてまだしたくないかなぁ」
「女の子はいい家の強い男性と結婚するのが一番の幸せよ?ね?一度会うだけ会ってみない?」
興味なさそうに写真を一瞥した後、リネルはキキョウの顔を見て言った。
「…ママ、私好きな人がいるの」
「え…?」
キキョウがさっと顔色を変えてリネルの顔を覗き込んだ。
暗殺一家に生まれて、そう育てられてきたリネルは仕事絡みの他、ほとんど家の外に出た事がない。
当然どこかの誰かと接点を持つ機会すらなかったハズなので、キキョウは狼狽を隠さずに言った。
「な、…リネルちゃん、それ誰なの?どこの誰?」
「イル兄」
「え?」
あまりに真剣な表情のリネルの言葉にキキョウは戸惑いを浮かべて話した。
「そう…。まぁリネルちゃん昔からお兄ちゃんっ子だったものねぇ、大丈夫よ、イルだってリネルちゃんが幸せな結婚したら喜んでくれるわ」
「……あと、パパも好きだし、おじいちゃんもママも好き」
「リネルちゃん…」
「だからまだここにいたい、ママ、だめかな?」
「ええ、もちろんよ。すぐじゃなくたっていいのよ。
ただね?準備は必要でしょ、練習にもなるし、わかるわね?」
「…うん」
「いい子ね」
キキョウはリネルの頭をそっと撫でた。
この親の事だ、そうは言っても近々お見合いを実行に移すのは確実である。
リネルはキキョウにわからないように唇を噛み締めていた。