第2章 似た者同士(イルミ/妹/近親相姦)
「イル兄、また仕事?」
「うん、どいて」
屋敷の廊下で仕事に向かうイルミの前にリネルは立ちはだかっていた。
「熱心だね、ほんと」
「この家に生まれたんだから当然でしょ」
リネルの横をするりとすり抜けるイルミが少し振り返り言った。
「リネル、キルの事見張っててよ?また何か企んでそうだし」
「またキルの話?イル兄って仕事とキルの事しか頭にないの?」
「リネルだってキルの姉だろ、キルは大事な跡取りなんだから家族みんなで守るの当たり前」
「…姉って言ったって私、キルと一個しか違わないし」
「リネルが姉なのは事実でしょ」
不機嫌そうな顔でイルミを睨みつけるリネルに、イルミがきょとんとした顔で言った。
「何?俺何か間違った事言った?」
「…ミル兄の言い分わかるなーって思って」
「はぁ?」
「…パパもママもおじいちゃんも…イル兄も、みんなキルを甘やかしすぎ」
「んー、そんなつもりはないけどな」
「過保護すぎてむかつく」
「リネル反抗期なの?キルの事となると最近やたら俺に楯突くよね」
「だって、それは…イル兄が…」
「俺が何?」
「…ちゃんと、…イル兄が、……」
「…何が言いたいの?はぁ、面倒くさい、リネル意味不明」
イルミは、リネルを無視しそのまま足を進めた。
リネルはそんなイルミの後ろ姿をじっと目で追っていた。