第9章 お仕置き(イルミ/弟子/鬼畜/微甘)
イルミの言葉に驚き、リネルはぱっと顔をあげた。
たまには遊びたいと思っていたのは嘘ではないが欲求不満というつもりは毛頭なく、仮にそうであったとしても年頃の女子である以上それをそのまま認めるわけにもいかない。
「な、…何言ってるんですかっ!」
「リネルの顔色、鼓動、身体の緊張。俺がちょっと顔近付けたくらいでこんなに変化が見て取れるしね、欲求不満以外に何がある?」
リネルは焦った顔をしつつ、詰め寄るイルミから逃れようとソファギリギリまで後ずさりをした。
構わず距離を縮めてくるイルミは、そのままリネルの両手を押さえその場に押し倒した。
「ちょっ、きゃあっ!…な、やっ、やめて下さいっ!」
「今日はこの後朝まで練やってもらおうと思ってたけど…まぁたまにはこういうのもいいかな」
「えぇっ?!…や、だ、ダメっ、ダメですよこんなの!!」
顔を近付けてくるイルミのさらりとした黒髪がリネルの頬や首筋に触れ、その感触にリネルの心臓がうるさいくらいに音を立てていた。
イルミはそんなリネルに無理矢理に目線を合わせ 普段と同じ無表情のまま言った。
「また何か勘違いしてない?誰がこのまま抱いてやるって言った?」
「はっ、…えっ?、……」
「欲求不満で修業をやる気のないリネルに、今日はお仕置き」
「え…………っ、…!!…」
きっぱりそう告げるとイルミはそのままリネルの口に自分の口を押し当てた。
簡単に唇を割られ侵入してくる舌の感触にリネルは身体をピクリと震わせた。
「んんっ……ッ、…っ……ん!…」
「…下手だねリネル、こういう事も教えてあげた方がいい?」
「ふっ、……んっ…、……んん…」
深く舌を絡め取られると、どう反応したらいいのかわからず身体だけが固く緊張してしまう。
イルミの事は嫌いではないし尊敬はしているが恋愛感情があるわけでもなく、ましてや師匠と弟子の関係。
そんなイルミと唇を合わせていると思うだけでリネルは妙に背徳感を感じ、逃げるようにきゅっと目を瞑った。
イルミはそんなリネルの雰囲気を悟ってか、リネルから口を離し、リネルを煽るように唇をぺろりと舐めながら言った。