第6章 師弟関係(イルミ/年上師匠/甘)
さすがにそこまでしてくるとは思っていなかったのか、リネルは目を見開くと自分の顎を捉えるイルミの腕を掴み上げ抵抗を見せた。
「…何するの」
「うわ、相変わらず馬鹿力だね」
「…安く見るんじゃないわよ」
「え?どうしてそうなるの?大人になったしようやく対等なら俺のモノにも出来るかなって思っただけなのに」
イルミは掴み上げられた手はそのままに、もう片方の手でリネルの頭を抑えると再び唇を重ねた。
リネルはたびたび抵抗しようと力を込めるが、今度は頭を強く引き寄せられているためか思うようには動けなかった。
「…や、めなさい、よ」
「やだ」
いきなり口内に深く舌を入れられると、驚きからかリネルの身体がピクリと震えた。
イルミが構うことなく舌を絡めていると、少しづつリネルの抵抗の力が弱まり、ついにはリネルは掴み上げていたイルミの手をするりと下ろした。
「ん…っ……ッ…」
「リネルとキスなんかする日が来るとは思わなかったな」
「あなたが、…したんでしょ…っ」
お酒のせいなのかキスのせいなのか、頬を赤くしているリネルが尚更愛らしく見えて、イルミは両手でリネルの頬を包むと再び上を向かせ唇を重ねた。
「…ん、…あなた、ここ、っ…外だよ…」
「そうだね」
「…酔ってるの?」
「全然」
口内に感じる感触と時折漏れる唾液の絡む音に、身を任せるようにリネルがきゅっと目を瞑るとイルミはまたリネルから口をはなした。
「これじゃ、俺腰が疲れる」
「…私だって、首が痛い…」
「リネルが小さいから」
「それやめなさいよ、いい加減…」
リネルは罰の悪そうな顔をしてイルミの顔を見上げ、自分の顔にかかってくるイルミの黒髪をわざとらしくツンと引っ張った。
イルミは、それに応えるようにリネルにもう一度触れるだけのキスを落とした。