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〈短編〉H×H(裏中心)

第6章 師弟関係(イルミ/年上師匠/甘)


ちらりと目を細めて目線を投げてくるリネルの顔を見返し、イルミはリネルの腕を引くと自分の方へぐっと引き寄せた。

簡単に動く軽い身体のリネルを見下ろすと、リネルはほぼ真上を向くような格好になってイルミに丸い目を向けた。



「軽すぎ」


「ちょっと、なに?」


「俺、今後は一生リネルの魅力わかんないかも」


「…急に何真面目に答えてるのよ」


「不思議なんだけどさ。リネルって昔と全然変わってないなって思うんだけど、当時は絶対届かない存在だと思ってたけど今は簡単にどーにかできちゃいそうだし」


「どういう意味よそれ」


「なんていうのかな、手に入ったら急に興味が失せるって言ったらいいのかな?」



考え込むように話すイルミにリネルは諭すような口調で返事を返した。



「…言いたい事はわかるけどね、それはあなたが大人になって強くなって成長したって事。昔は私の後ろにいたでしょうけど今は隣に並べるようになったって事。あなたはもう昔のままじゃないでしょ?」


「んー、そうなのかな」


「…あと」


「え?」


「手に入るってのは訂正してよね、私はあなたのモノじゃないよ」



リネルはふっと笑うと掴まれた腕を振り払い前を歩く。

そんなリネルの腕を掴み直すとイルミはリネルの顎に手を添えて顔を上に向かせた。

真上を見上げるリネルはイルミの動作に丸い目をさらに丸めてイルミを見上げた。



「…なら、今日だけ俺のモノにしていい?」


「え?」


「今日はリネルの事が欲しいって言ったの」



リネルはさほど驚いた様子もなく半ば飽きれたような声で、言葉の最後をわざとらしく強調して言った。



「嫌、教え子に手出す程不自由してません。小さいけどね」


「小さいって言ったの怒ったの?」


「そんな事くらいで怒る訳ないでしょ、あんまり調子に乗らないでよ」


「乗ってないよ」


「乗ってるよ、偉そうに」


「だってもう隣歩けるくらいに対等なんでしょ?」


「それとこれとは意味が違う」


「よくわかんない」



イルミは腰を折ると更にリネルの顔を引き寄せてリネルの口に自分の唇を重ねた。
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