第6章 師弟関係(イルミ/年上師匠/甘)
「リネルはまだ誰か教えてるの?」
「リネルさん、でしょ。あなたの後に二人教えたよ、今は空きだからちょっと別の事してる」
「ふぅん、よくやるよね、そんな面倒くさそうな事」
「…あなたが言う?誰のおかげでここまで成長したと思ってるの?」
「リネルには感謝してるよ」
「だからさんをつけなさいよ、さんを」
昔から変に規律にうるさいリネルにイルミは少し懐かしさを感じ、手元のお酒を呑みすすめていた。
今日はたまたまとはいえ数年ぶりの再開に案外話は尽きないもので、2人は色々と思い出話に花を咲かせていた。
「…あー、呑んだ呑んだー…」
「年寄りくさい、リネル」
「リネルさん!!」
「しつこいね」
「どっちが」
時刻も遅くなって来た頃、店を後にする2人は大通りを通りすぎる車の横を歩いていた。
全く酔ってすらいないイルミに対し、リネルは頬を赤くしどこか上機嫌に足取りもふわふわと軽かった。
自分の隣を歩くリネルをちらりと見てイルミは不思議そうな声で言った。
「…しかし、ほんと小さいねリネルって。キルより小さいかな、下手したらカルトくらいかも」
「それ末っ子君?…ん?四番目?…ん?」
「酔っ払い。てゆーかそんな小さいと不便じゃない?」
「さっきから何?小さい小さいって。自分が大きく成長したからって嫌味なわけ?」
「思った事言っただけなんだけど」
「ふん、あなたにはスカートの丈がなかなか合わない気持ちはわからないですよー」
「男だしそもそもわからないけどね」
「……あーもう、ほんと可愛げなくなっちゃったね」
イルミに不機嫌そうな顔を向けるリネルは、お酒のせいで頬が赤くなっているせいか いつもよりさらに幼く見えるが、吹いてくるビル風になびく髪を片手で抑える姿は妙に大人っぽく見え、イルミはリネルに目線を落としていた。
「リネルってもてないでしょ」
「はぁ?何言い出すの?」
「だって子供みたいだしさ、嫁の貰い手あるの?行き遅れるよ?」
「しっつれいね!…こう見えてもこういうのが好きって言う人もいるんだよー」
「え?そうなの?」
「イルミ君には私の魅力はまだわからないかな?」