第6章 師弟関係(イルミ/年上師匠/甘)
今日は珍しく街中での仕事を終えたリネルは近くにあった飲み屋に入った。
適当にお酒とつまみを注文した後で、仕事中に円を使った時に感じた懐かしい気配の事を思い出していた。
リネルは運ばれてきたお酒に口をつけた後、携帯電話を取り出して一本のメールを送った。
程なくしてリネルの隣に長身の男がやって来て、そのまま席に腰掛けてきた。
リネルは懐かしそうに目を細めながら隣に座る男に笑顔を見せた。
「ずいぶん久しぶりだね、イルミ。まさか本当に来るとは思わなかったなぁ」
「何、俺結構忙しいんだけど」
「だからメールに書いたでしょ?『もし時間があればで構わない』って」
「そういう言い方されると気になるよね」
「真面目だねー、相変わらず」
リネルは目線を前に戻すと手元のお酒を傾けた。
隣でリネルと同じお酒を注文するイルミに、リネルは尋ねた。
「あれ?あなたってお酒飲むの?毒になれた身体してるくせにお酒に酔うのかなぁ」
「酔わないよ。ま、付き合いで呑む事もあるけど」
「ふぅん、そっか。もう堂々お酒呑める歳になったんだねー」
「そういう言い方年寄りくさいよ」
「失礼な…。でもすーっかり大人っぽくなっちゃったね、なんかちょっとひねくれた?」
「別に。リネルなんか昔と全然変わってないじゃん」
「リネルさん、でしょ。でも変わってないって言うのは女性に対する褒め言葉だよね」
「じゃあ言い方変える、昔と変わらず子供みたい、…改めて見るとほんと小さいよね、背も顔も」
「今更?それに外見には惑わされないようにって教えたじゃない」
「でも実際さ俺より年下に見えるよね」
「永遠のなんとかーってヤツ?」
クスリと笑みを見せたリネルが、おかわりを注文した後でイルミに話し掛ける。
「ねぇ、跡取りの弟君は最近どうなの?そろそろ時期じゃない?私が念教えてあげようか?」
「キルならすでに覚えて来てて今割と強いよ」
「あらそうなの残念。ご家族はみんな変わりなくお元気?」
「うん」
「キキョウさんにまたお茶しましょって言っておいてよ」
「やだ、2人揃うとうるさいし」