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〈短編〉H×H(裏中心)

第5章 ミッション(若イルミ/使用人/グロ)


「アルカ坊ちゃんお上手ですねー!これはキルア様?」


「うん、そうだよー!これは誰だかわかる?」


「んー、これはイルミ様かな?」


「正解ー!」



楽しそうな笑顔を浮かべるアルカの横でリネルは、本当にこの無邪気な子供に想像出来ぬような恐ろしい能力があるのかと疑問に思った。

この子供がカスガに出したおねだりの内容はある程度知っているがそんな事を言い出すようには微塵も見えないアルカの様子にリネルはぎこちない笑顔を見せた。

アルカは新しい画用紙を取り出すとリネルに差し出し言った。



「じゃあねーリネルー、カルト描いて」


「えっ…」



アルカの口調に一瞬目を泳がせたリネルは、もう一度静かな声でアルカに聞いた。



「えっと、今なんとおっしゃいました?」


「だからー、リネル カルト描いてー」



アルカのおねだり。

リネルは画用紙を受け取ると、簡単な内容に内心胸を撫で下ろしてアルカににっこり微笑んで言った。



「わかりました…えっと、カルト様はお目目が大きくて…」


「リネル、上手いねー!」







あっという間に夜になった。

あれ以降は特におねだりをすることもなくアルカは普通の子供と変わらぬ様子で遊びまわっていた。

運ばれた夕食を終え、そろそろ今日この部屋で過ごすのはお終いという頃に、アルカがぼうっとした顔でリネルの服の裾をちょこんとつまんできた。



「どうなさいました?眠たいですか?」


「んー…」


「アルカ坊ちゃん?」


「ねぇリネルー」


「はい…?」


「奥歯ちょうだい」


「え………」



油断していた。

今日はこのまま何事もなく、もしくは簡単なおねだりで終わるものかとばかり勝手に高を括っていた。

ひょいと両手を差し出したアルカの大きな目を見つめて、リネルは少し震える声で返事を返した。



「わかりました」


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