第19章 ハニートラップ (イルミ/妹)
身体を押し付けるように抱き着いてみるとイルミの片手がまだ浅いリネルの身体の曲線をなぞり上げ、ふわりと胸元に伸びる。リネルは怪訝な顔をしてイルミを見上げた。
「…私がするんじゃなかったの?」
「ああいう事されてたら普通手を出してくるよ」
「そっか…」
自分から何もかも進めなくてはいけない訳ではないのは こういった行為が初めてのリネルにはある意味好都合、相手の隙を見て絶命させてしまえばいい。服の上から胸元を撫でられる感触が不快でぎゅっと眉を寄せた。
“殺る……!!!”
イルミの手首をきつく掴み もう片手を心臓へ突き付けるが、それは簡単に振り払われてしまう。イルミは冷たく言った。
「全然ダメ。動きが遅いし攻撃も単純すぎ、顔にもこれから殺しますって出てるよ」
「…ッ…」
「早く終わらせたいならさっさと殺して」
「…、わかってる」
「わかってないから出来てない、これが本番の仕事だったらリネルはもう二回死んでるよ」
「わかってるってば…っ!」
イルミは悔しそうに睨んでくるリネルを強引にベッドに押し倒し、リネルの両手をベッドに固定した。