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〈短編〉H×H(裏中心)

第19章 ハニートラップ (イルミ/妹)


リネルは困った顔をして少し首を傾げた。

その仕草も表情もそこそこは可愛らしく見えるのか今度はイルミは何も言ってこない、第一段階は合格かとホッとする思いだった。命令とはいえ実兄と触れ合うなど進んでやりたい訓練な筈がないし「早くイルミを殺って終わりにしたい」、これがリネルの本心であった。


「…届かない」

「え?」

「イル兄背が高いから。…とりあえずキスしてみようと思うからちょっと屈んで?」

「うん。ストレートだね」


イルミはサッと腰を折る、目線が同じ高さになるとリネルはイルミの両頬を包み唇を重ねてみる。

イルミの反応が気になり 少し顔を離すと、じっと観察するようにリネルを捉える瞳と目が合う。


「あの…えと」

「なに」

「…なんでもない…」


リネルは戸惑いに目を泳がせた後、再びイルミに口付けた。そして気まづい空気を誤魔化すよう 先ほどのイルミの行為を真似て、恐る恐る舌を押し進めていった。
生温い感触に指先が緊張し冷たくなってゆく。背徳心をぶつけるように不器用に口内を弄った後、ゆっくり口を離した。




「……、ど、かな…?」

「リネルの思うようにでいいよ」

「…はい…」


もう一度イルミに唇を重ねる、慣れてくれば深いキスもなんて事はない。次第にリネルの行為に応え 自ら少しづつ舌を絡ませてくるイルミの首筋に両手を回した。






“殺す………”


咄嗟に爪先を鋭く変化させ それをイルミの首元に突き立てようとした。


「ッ………」


次の瞬間 自身の首の後ろに鋭く触れる尖った物の感触に驚きついイルミを突き飛ばした。イルミはケロリとしたまま言った。


「一般人なら今のでいけたかもね。でも能力者が相手だったら逆にリネルが殺られてるよ、不自然だし殺気も出てるし」

「そっか、…」

「甘いよ、これくらいじゃ殺せない」

「はい、…」

「…じゃあ続きどうぞ」

「うん」


瞳をスッと半分程に細めるイルミに リネルは再び近付いた。





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