第12章 同化（イルミ／ストーカー／狂愛）

「リネル、ただいま」

「イルミ……っ」

「どうしたの？血が出てる」


私を優しく抱きしめてこうやって心配してくれる。
ほら、イルミは優しいんだよ。



「私、おかしいの…」

「どうして？どうしたの？」

「頭の中がうるさい…」


助けて。イルミ。
私なんだかおかしい。



「ごめんねリネル、最近はそういう事ばっかりだったしリネルも疲れてるよね？今日はこのまま休もうか、ずっと抱きしめててあげるよ」

「……」


優しい。イルミ。
優しいイルミが好き。






“………”

“………”


うるさいな、こんな時まで邪魔をしないで。
私はやっぱりおかしいの？






「…イルミ、抱いて！」

「どうしたのリネル？無理しなくていいよ」

「いいの！お願い！…イルミの事だけ考えてイルミの事だけ見ていたいの！他には何にもいらないの！」

「それは…リネルの望み？」

「うん、…早く、早く抱いて！」

「わかった」








トンッ

トンッ



「リネルの望みは何でも叶えてあげる」

「…ありがとう、イルミ」

「好きだよリネル」

「…うん」



頭の中の声が消えた。
でも、頭の中が動かない。





イルミは私を優しく抱いてくれる。





「リネル、気持ちいい？」

「…あ、…んぁっ、うん…」

気持ちいい。










「リネル、俺の事好き？」

「ん…、好き…っ…」

イルミが好き。










他には何もわからない。