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〈短編〉H×H(裏中心)

第12章 同化(イルミ/ストーカー/狂愛)


5日目《崩壊》


無人の部屋。今日も1人。

無音。静寂。当たり前、だって私は1人。



“………”

“………”

“………”


無音なのに無音じゃない。
頭の中がうるさいの。
これは大好きなイルミの声なはずなのに。
頭に響くその声は不快で不気味で重たくて。


“………”

“………”

“………”


これはイルミの声に聞こえるけど、イルミの声じゃないのかもしれない。
私が勘違いしてるだけ?
だってイルミの声は本当はもっと優しくて私を労って大事にしてくれる。


“………”


ああ、うるさい。

静かにして。
イルミの本当の声を忘れちゃう。

私最近物忘れが激しいみたいで色々わからない事が増えていて。

イルミの優しい声まで忘れたら…
私は本当に壊れてしまいそう。


“………”


ねぇ静かにしててよ、お願いだから!!!

気持ちが悪い。
これはイルミの声だけど、イルミの言葉じゃない。














ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ







「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」



今日はこの繰り返し。


無音。

頭の声。

頭を掻き毟る。大声を出す。

でもそんな事すると爪の間に血が滲むし、何より痛い。
それに自分の声だってうるさい。


掻くのをやめる。
叫ぶのをやめる。


するとまた、無音。















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