第12章 同化(イルミ/ストーカー/狂愛)
2日目《戸惑》
私は何故かイルミの家にいる。
広い部屋に大きなベッド。
このなに不自由ない家に。
何故ここにいるんだろう。
部屋のドアに足を進め、ドアノブを握る。
帰らなきゃ、イルミから離れなきゃ…
そう思うと頭の中でイルミの声が響く。
“重く。低く。支配されるように”
私はドアノブを離した。
「リネル、ただいま」
「ぁ…」
頭ではなく突如上から聞こえた声に 私は強張った顔を向けた。
イルミは立ち尽くす私をそっと抱き寄せてきた。
私はますます顔を強張らせて身体を固く緊張させた。
身体がイルミを拒否してる。
無理もないよ、だって私は昨日この人に無理やり犯されたんだから。
やだ、触らないで……
“あ、ほら、また。頭の中でイルミの声がする”
「リネル、俺の事好き?」
「…うん」
イルミは身体を屈めると私に唇を重ねてくる。
思い出すのは昨日の事、やだ、怖い…
“ほらまた聞こえる、うるさいくらいに。頭の中で。”
「リネル、今日も俺とセックスしたい?」
「……したい」
イルミは震える私をベッドに連れて行き、そっと柔らかいベッドに押し倒した。
はらりと落ちてくる流れるような髪の感触、その何を考えているかわからない黒い瞳、私の頬や首筋を撫でる手。
ダメだ…昨日の事が思い出されて…
私は歯をガチガチいわせて震えてた。
「今日は優しくするからそんなに緊張しなくていいよ」
「……うん」
イルミは私にそっと唇を重ねた。
震える私を宥めるように優しく頭を撫でながら、舌先で緩い楕円を描くように少しづつゆっくりと私の口内に舌を侵入させてくる。
「…ッ、…ふ…」
いつの間にか 服の上から優しく胸元に手を添えられ、変わる形を楽しむようにそっと胸をあそばせてくる。
昨日とは全然違う甘く溶かされるような刺激に 私は固く閉じていた瞳を少し開いた。
すると目を細めながら味わうように私に唇を重ねるイルミと目があった。
白くキレイな肌にスッと通る鼻筋。
意識して見た事がなかったけど、近くで見るとこの人はキレイな顔をしていると思った。