第11章 五十嵐兄弟
思えば俺らは、
家事なんて大したこと出来ない
潤は料理とか掃除とか、
その辺は上手で出来るけれど
何も出来やしないんだ
「翔兄ちゃん、熱あるよ」
「…大丈夫。寝てりゃ治る」
フラフラする翔の目は
うつろで、立っているのもやっと。
「翔ちゃん、寝てなよ」
駆け寄ると、翔ちゃんは
手を払った。
「……大丈夫、って言ってるでしょ」
ね、と優しく微笑む。
手が震えた。
いつものことだ。
翔ちゃんは心配されるのは嫌な人
そんなこと分かってるのに。
なんでこんなに心臓バクバクさせて
泣きそうになってるんだ。
「大丈夫じゃないでしょ、寝なよ」
雅紀は無理やり部屋へ
連れて行こうとする
けれど何故か動こうとしない翔ちゃん
「翔兄ちゃ…
「ごめんな」
翔ちゃんが、
深く頭を下げた