第11章 五十嵐兄弟
ーー智side
みんな、イライラしてる。
ちゃんが出てってから
沈黙の空気が流れて、
ただ、気まずいだけの空間に
隆平くん達は外へ行っちゃって。
なんとかしなきゃって
余計なことばかり考えてる。
「結局、なに。
母さんが帰ってくるの?」
最初に口を開いたのは潤。
「…らしいね。聞いたら。」
雅紀がうなずく。
ソファーに座ってる翔は
少しだるそう。
「帰って来い、って言ったの」
「仕事が早く終わったんでしょ。
普通に考えてそれしかないじゃん」
「オレはやだよ、会いたくねえし」
何故か拗ねてる潤に、
微妙、というか、かなりイラつく和。
「和解しようよ。
俺らが反抗してたら意味ない」
「は?智兄ちゃんはそれでいいの
この前の件、忘れてないよね?」
眉間にシワ寄せ、
イラつきを見せる潤。
この前の件とは、たぶん
父さんとのことだと思う
「それとこれとは別。
父さんと母さんがどうあれ、
家族には変わらないでしょ。
拗ねて突っぱねても意味が無いって、
俺は言ってるんだよ、潤」
黙り込んだ潤に
雅紀が付け加える
「…今回、ちゃんが
出て行ったことだってさ。
結果、俺らが悪いわけでしょ?
彼女に対しての気持ちだって、
みんな、違うよ。なんなの?ほんと。」
ちゃんに対しての気持ち?
和は俯き、
少し震えていた。
「好きなんでしょ。
だったら尚更今の状況はおかしいよ」
「今回の件とか喧嘩とか、
ただの自己満足でしかない幼稚。」
雅紀はそう言って、
寝転がってキツそうにする翔に
駆け寄って部屋へ連れてった。