第11章 五十嵐兄弟
ーー翔side
「俺のせいでこうなった
しっかりしてればこんなことには」
いつだってそうだ。
小学生の時にだって、
イジメに合って、
でもそれを親にも兄弟にも言えなくて
しかも勉強勉強、で。
頭おかしくなりそうで
だからもう。居なくなってしまおうと
手首を切った。
目を覚ます頃には病院にいて、
手首には包帯巻かれて
ベットの横に母さんが座ってた
『気づいてあげれなかったね』
ただ一言、母さんは言った。
家に帰れば、喧嘩ばかりで
言い合い殴り合い。
俺が居なくなろうとしたから。
みんなを狂わせた。
「これから頑張るから。
だから、もうやめよ…喧嘩とか…」
「翔兄ちゃん違うよ」
俯いてた和が、
俺のそばに来た。
「誰のせいとかない。
誰かのせいにしたいだけ。
本当はみんなわかってる。原因も。
だから翔兄ちゃんのせいじゃないよ。
分かってるでしょ、誰も悪くないって
もういいんだよ。俺らの責任背負わなくても」
「……か、ず…」
「俺らが謝るべきなんだ
いつも、全部の責任負ってくれて
翔兄ちゃんばっか悪者にして、ごめんなさい」
知らなかった。
初めて、俺は何か違うと実感した
溢れ出るこの感情は何かは分からないけど
知らなかった。
みんなが、罪悪感に満ちた目で
俺を見て涙を流してた