第10章 変わる環境と気持ち
それから私は色々あって、
元々咲和さんがやっていた、
この母親代理人を見てて
私もやりたい、と
高校2年になって手伝い始めた。
あれから兄はどうしてるのかな?
お父さん、元気でやってるかな?
考える事はいつも心配、という事
あれだけひどいことされておきながら
私もお人好しだよね…。
『捜してるんじゃない?みんな』
トントン、と
印刷された数枚の資料を
綺麗に揃えながらそう言った先輩。
「…そうですかね」
『ふふ。そうよ、きっと。
あんたは皆と年が近いもの
母親と違う感情だってあるものよ?
まあ、隆平くんたちは別物だろうけど』
「…え?ど、ういうこと…」
『そんなの、自分で考えなさいよ』
そう言って先輩は、
立ち去って行った。
ボードには『○○さん母親代理』と
記されてるから、
きっとこれから仕事なんだ。
携帯を開く。
数件の着信。
でも、『切る』ボタンを押した。