第9章 想い
夜、
お皿を洗いながら
母親代理の契約終了について考えていた
2週間後…
私は家を出ていかなきゃいけない
「兄ちゃんあかん!ずるい!」
「ははは、力の差です」
「うわ、大人げな。和」
なんて言えばいいのだろうか
どう言えば、いいのか。
そればかりを考えていた
「水、出しっぱなし勿体無いよ」
キュっと音がして
振り向くと智くんが笑って立ってた
「あはは、ごめん。」
「洗い物進んでないけど手伝う?」
ん?と手を差し出す
「大丈夫!ありがとね」
優しく笑ったつもりなのに
智くんは悲しげに、
眉を下げる
「…何かあった?」
智くんは腕をそっと握る
「隠さないで。お願い教えて」
ね、と
やっぱり悲しげな顔。
そしたら涙が一粒流れて
「咲和さんから…、電話きたの」
「…うん。なんて言ってた?」
「2週間後、家に帰るから…」
その先が言えなくて、
黙り込んでると
智くんは私を黙って抱きしめた
「うん…、そっか。帰るんだね」
そう、分かっていたように
小さくつぶやいた。