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母親代理人

第2章 五十嵐家





バタバタバタ



「こんこーん!失礼しまあす!」



「ノックってのは、叩くもので
 口で言うものじゃありません」


「こりゃ、失礼!
 では、改め…「しなくていいから」




「ふふふ。
 俺は雅紀って言うの。よろしくね」




ニコッと笑うと彼は、
部屋から出て行ってしまった。

台風みたいな人だな…。



しかも声大きいでしょ?




どこに居るのか分かってしまうんですよね






『ねえ!翔にいちゃーーーん!
 俺おなかへったよーー!』


『だからうるさいってば。
 いい加減にボリューム下げないと晩飯抜くよ』


『そ、それは困った困った
 どうしよう潤ちゃん』


『喋る大きさを小さくすればいいと思うよ』




冷静な回答です。







しばらく部屋の片付けをしてると、



「えーっと、」



と廊下から聞こえるから振り向けば、
少し無愛想な男の子が立っていた


呼び名に困っているようす。




「飯、作ったから食べよ」



「あ、はーい」



立ち上がってトコトコ歩き出すと、


扉付近に立っていた彼が、




「…なんて呼べば、いいっすか」



とボソボソ話しかけてきた。


「なんでもいいよ。
 って言うの、呼び捨てでも」


「…母親、代理だから
 お母さん、って呼ぶ。だめ?」



「い、いいよ!全然いいよ!」




彼は照れたように、にへっと笑い
前を向いた。


お母さん、か。




なんかむずがゆいな。







 
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