第9章 想い
ボーッとしていると、
「どうしたの?入らないの?」
そう声が聞こえて上を向くと、
智くんが立ってた。
「うんっ、入る入る」
「あはは。なになに、変なの」
笑いながら智くんも
中に戻っていく。
言わなきゃ、言わなきゃ。
リビングに戻り、
いま居る人達に事務所に
戻ることを伝えた。
咲和さんが戻る、
それだけは言わずに。
「隆平くん達はお留守番しててね」
「わかった、待ってるな」
にへ、と笑う隆平くんは
たぶん事情を理解してる。
「にしても戻るって急だね」
「う、うん!ちょっと呼ばれたんだ」
なんだろうね、って
誤魔化すの下手なくせに
笑いながらそう返した
「気をつけてね。
家の事は俺らやっとくから」
智くんがグッとガッツポーズ。
「ありがとう、行ってくるね」
そう言って家を出た。