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母親代理人

第8章 精神状態






「自分のせいで、家族が、
ボロボロに壊れていくのを
母さんも戻って来ないしさ…!
何が心配だよ!!
皆が心配なのは世間体だろ!!!」




くしゃ、と布団を握り締める。





「…もうほっといてくれよ」




翔くんは暗い目で、
兄弟達を見る。




「帰ろう。もう」




和也くんと雅紀くんが病室を出る。



続いて潤くんと智くんも出て行く。





俯く翔くんが、

ちらりと私の方を見る。





「…大丈夫?寝たら?」



「…はは、ありがと」




翔くんがゆっくり寝転がると、



私は傍に置いてた、
椅子へ座った




「本当はさ、分かってるんだよね
頭では戻って来ないなんてことはさ
だけど、信じたいんだよ。俺。」


「元に戻る、ってこと?」



「うん、そう。
周り見渡したらさ、みーんな。
幸せそうな顔して笑ってるんだ
俺なんて、こんなんだよ…。」



笑えねえよ、って



乾いた笑い声。




「勉強だけなんだ。
唯一、両親が褒めてくれたこと」




翔くんは細い指先を、


ゆっくり開く





「翔くん…。」



「もう大丈夫だよ。
帰って平気だから!ね?
隆平くんたちも待ってるだろうしさ」





にひっ、と


笑う彼の顔は、
本物だと思ったけど




「明日も来るから」



「ふふ。よろしく」






翔くんに別れを告げて、


病室を後にする。





翔くん…。




かなり傷ついてたなぁ…





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