第7章 責任
居なくなればいいのに。
薄らいでく意識のなか、
ただそれだけを願った
なんで俺だけこんな目に遭うんだ
なんで俺だけ、
こんなに頑張らなきゃいけないんだ
悔しくて、悔しくて。
あるとき、父さんに
初めて反発した
『俺は父さんのプライドじゃないよ!』
暴れ回って、そして
そのまま家を飛び出した。
消えたかったんだ
星空を見ながら、
兄弟が心配で帰った
家に帰ったのは翌朝だった。
家に着くと、
皆がドタバタしていた
『どうしたの?』
『父さんが!!居なくなったんだよ!』
母さんはうずくまって泣いていて、
智兄ちゃんは何度も電話して。
雅紀や潤は捜しに出ていて、
和也は俯いて動かなかった
ああ。俺のせいなんだ。
俺は家族を壊したんだ。
俺が勉強投げ出したから、
父さんは呆れて出て行ったんだ
俺のせいで母さんが泣いてるんだ
俺のせいで、俺のせいで……。
『翔ちゃん?大丈夫?』
『父さんは大丈夫だよ、
俺が勉強で1位取り続けるから
だから戻って来るから』
1位を取り続けて、
運動もいっぱい賞を取ったら
母さんも父さんも、
笑ってくれるはずだ。
はず、なのに。
鏡を覗けば、
やつれていた。かっこわりぃな…
「なにやってんだろ。俺」
テストでは1位だった。
でも、模試では3位だった。
まだ、ダメなんだ。
これじゃ、母さんも父さんも。
戻っては来ない。
「…まだダメなんだ」