第6章 帰宅
二人で探すも見つからない。
携帯にも出ないし…。
「いつになったら、
俺らは幸せに暮らせるんだろうね」
智くんがそう呟いた。
泣きそうな、声で、目で、
震える声に私は
智くんの頭を撫でた。
「大丈夫だよ。絶対に大丈夫!」
「……っ、うん」
頑張れば報われる
絶対に私が守る。
「あ、和也!」
智くんが叫んで指さした先には
俯く和也くんがいた。
走り寄って、
近くに来れば
頬が少し赤く腫れてた。
「ど、したの…」
「ううん、なんもないです
ちょっと転けた」
と腫れた頬を
見せようとしない和也くん
智くんもそれ以上に
追求しようとはしなかった
「父さんは?」
「見失った
どこか知らない。」
和也くんはそう言って、
そのまま帰ろうとした。
よく見れば、体には
傷だらけじゃないか。
「…和也くん!!!」
びくっ、と体を震わす。
「……違う、」
「和也くん?」
振り返った和也くんは
泣きながら、
「俺は皆の為にやったんだ…っ」
そう言い、私に抱きついた。
弱々しい、傷だらけの、体で。