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母親代理人

第6章 帰宅






智くんが帰宅し、
潤くんが子どもらの面倒を見てくる


…というので、
智くんと私で探しに出掛けることに





そこで智くんに、
これまでの事を聞いた。








「父さんは2年前、
 俺らの前から姿を消した
 でも、一度だけ電話があった。」









『母さんたちを頼むな』








「母さんが海外の仕事をするのは、
 ぜんぶ忘れたいからだと思う。
 俺らが居る事でぜんぶ思い出すんだよ
 父さんとのこと。会いたいことも。


 本当は死んだ事にして、忘れたい。
 でもそれが出来ない事も知ってる。
 会えないの、知ってるよ、
 母さんはいつも…、ここに居ないんだよ。」





智くんは、唇を噛み締める。



辛い気持ちも、少なくとも
寂しいって事はわかる


一人で守っていたんだもんね






「…昔、雅紀達がまだ幼い頃に
 父さんはギャンブル依存になった
 そしたら暴力も振るうようになった


 翔はその頃から賢くて、
 父さんから勉強勉強って言われ続けてた
 俺が、なんも出来ねぇ出来損ないだったから
 そして雅紀達が中学に上がる頃、



 父さんは翔に口癖みたいに言ってた
 "勉強以外取り柄ないお前は、
  父さんの言うことだけ聞けばいいんだよ"って」



ぎゅ、と握り拳に力を込める。




「だから、無理してるの…?」

「うん。そう、翔は信じてんだよ
 自分が頑張りさえすれば、元に戻るって」



















「……そんなことで、
 もう、戻れない事ぐらい分かってんのに」








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