第6章 帰宅
「……会いたくなかったっ、
二度と、会いたくなかった!!」
潤くんが言った。
和也くんが潤くんに駆け寄ると、
隣に座って真剣な顔つきで呟いた
「俺が、なんとかしてやる」
和也くんはそう言って、
立ち上がり走り出しどこかへ行ってしまった
パッと顔を上げた潤くんは、
強く唇を噛み締めていた
「…翔兄ちゃんに、言わなきゃ。」
「でも、まだ学校じゃ…」
「テスト期間だから
もう終わってると思う。帰ってないだけ」
そう言い、携帯を開く。
後ろに立っていた隆平くん達が、
わざと明るい声を出した。
「姉ちゃん、買い物行かへん?」
「お、俺!お腹減ってん!」
「に、兄ちゃん…」
3人の手が、震えていた。
「怖くないで、何も怖くないから
ちょっとびっくり…したっ……だけ、」
「兄ちゃん、」
「大丈夫やって言うてるやん
平気やで、兄ちゃん。ほら、」
隆平くんはニコッと笑う。
その笑みに引きつった笑顔を
浮かべる忠義くん。
「隆平くん、忠義くん、祐也くん
中でゲームでもしよっか!」
「へ…?」
「暗い気持ちの時は、
楽しい事して吹っ切ろう?ね?」
「おん!!するする!」
「まりおかーとっ」
「またぁ?どうぶつのもりしたい~」
3人はバタバタと家の中へと
入って行った。
「……うん、分かった。
和の事は任せとくな?
……智兄、待ってる。じゃ、」
潤くんは電話を切ると、
ちらりとこちらを見た
「…なんか、ごめん」
謝る潤くんの顔が、
ヤケに悲しそうで泣きそうで。