第6章 帰宅
外へ出ると、言い合ってる2人。
そこに立っていたのは、
確かにヒゲボーボーのおじさんだ
「今さらなに帰ってきてんだよ!!」
後ろに立っている和也くんは
泣きそうな顔だった
おじさんが誰かなんて、
私には分かった気がした
「…お、やじ……?」
現実が認められなくて、
和也くんは呆然としていた
「帰れっつってんの!!」
『歓迎はしてくれないのか?』
「するわけねぇだろ!!
俺ら捨てたくせに!!」
潤くんが怒る理由は、
絶対にそこにはなかった。
2年もの歳月の中で、
彼らの中でも様々な気持ちがあって
おじさんが帰らないことに対してじゃなくて
もっと違う理由に怒ってる。
たぶん、
お母さんや家族に何の言伝なしに
居なくなったこと、だと思う
「まじで帰れよ!!」
「なあ、やっぱ警察呼んだ方がええんちゃう」
「潤くんが怖いで〜…」
2人が怖がって私の後ろに隠れていた。
潤くんは相変わらず、
おじさんを睨んでいた。
『…やっと、帰ってきたんだ。
言いたいことがたくさんあるんだ』
「…今さらっ……言いたいこととかさぁっっ…
なんもねぇだろうが!!…」
「潤くん!」
思わず飛び出していた私。
自分でもびっくりした
何を言う?何も知らない私が
『君は?』
「母親、代理人ですっ!」
そうだ
私はいま、母親代理人なんだ
「お引き取りください。
お話は後日、また伺います
今はお帰りください!」
『…わかりました。』
おじさんは俯いて、
落ち込んだ様子で帰って行った。
ばたっ、
力が抜けたのか潤くんが
へたれこんだ。