第5章 喧嘩
夜中1時。
彼らの元気は未だ尽きない。
テレビの前で、
Wiiのリモコン握り締め
ブンブン振り回してる。
「ああああっ、また負けたァ…
兄ちゃん手加減してゆうたやーんっ」
「いくら手加減しても、
お前は俺には勝てへんねん」
にやっ、と笑う隆平くん
悔しそうにリモコンを上下左右に振る。
その後ろで祐也くんが
つまんなさそうに2人を見ていた。
「ぼくもしたいなあ」
「祐也はヘタクソやねんから無理やで」
「負けたら泣くくせにやりたいとか、
ホンマあほちゃう、泣き虫祐也」
テレビをガン見しながら
ボロクソに言う2人。
言い返したいけど勝てない事を
祐也くんは分かってるから黙り込む。
というより泣きそう。
「…お…ねぇちゃ……」
「おいで」
年下はイジメられやすいもんね
トコトコ歩いて来て、
私の膝上に座る祐也くん。
「また今度お姉ちゃんとゲームしようね」
「…するー」
祐也くんはにぃっと笑う。
あーー、可愛すぎだよ祐也くん!
「あーっ!
祐也ずるいっ、お姉ちゃんの膝上!!」
「おいこら!忠義、まだ終わってへんて!!!」
リモコン放り投げて駆け寄ってくる忠義くん
隆平くんは「あーもっ!」と
怒りながら忠義くんの分もリモコン動かす
「ただよし兄ちゃんには譲らないもん」
「リモコンやるからそこどいてや」
「やーだねっ」
「…せこいーーーっ」
別に私の膝上は
特別感なんてないのに…