第3章 三人兄弟
事務所に着き、中へ入ると
所長さんが3人の男の子と話していた
「所長さん」
声を掛けると所長さんは振り向き、
ニコッと微笑み『こっちこっち!』と手招きした
『本当はね、1人の予定だったんだけど
弟くん達が離れたくないって…
ごめんねぇ、大丈夫かい?』
「……大丈夫です。
仕方ないですよ、家族ですもんね」
『それがね...』
長男の隆平くんと次男忠義くんは
祐也くんとはお父さんが違うらしい
祐也くんのお父さんはしばらく、
東京に住んでいたらしいけどお父さんが
病気で寝込んでから色々あって亡くなってしまい
お母さんの所へ大阪へ来たらしい。
二人とは初対面だったよう。
綺麗な顔立ちというだけで引き取ってもらい
まともに世話もしてくれなくて、
長男の隆平くんに面倒を見てもらってて
懐いてしまい離れたくないと言い張ってるのだという
「ぼく、りゅうへい兄ちゃんと
ただよし兄ちゃんと一緒がいいんだもん」
「祐也、ワガママ言っちゃ駄目やねんで
お姉ちゃんにも事情ってもんがあんねん」
「せやで。俺も一緒がええんやけど」
「いいよ、3人一緒においで
向こうの人達には私から言っておきます」
ここで見捨てちゃったら、
もしかしたらもっと酷い大人に会うかも
だったら、良い里親見つかるまで
私が面倒を見た方がいい
「ほんまええん?」
「お金とか、かかるんちゃうん」
「うぅ...」
祐也くんは隆平くんの服の裾を握り締め、
必死に泣くのを堪えている。
二人は不安げだ
「心配しなくていいよ。大丈夫だからね」
「…お兄ちゃん達と一緒?」
「おん。一緒やって!」
「バラバラにならんでええんやって!!」
「やったぁっ!!」
3人はぴょんぴょん飛び跳ね、
喜んでいた。