第17章 大学訪問
「ほんなら、俺はまた講義あるから。
ここでな。気ぃつけて帰りや」
手をパタパタ振りながら去ってくすばる。
相変わらず、
自由人だなぁ、すばる…
私も、と足を踏み出そうとしたとき
「待って!!」
呼び止める声に振り向くと、
周りからの視線を集める、智くんの姿
リュックを背負って走ってきた。
「どうしたの…?」
「……っ、…はぁ……っはぁ…
俺、午後の講義取ってないから、
一緒に帰ろうって追いかけてきたんだ!」
へへ、と笑う智くん。
昔と違って綺麗に笑うなあ…
やっぱりみんな、少しずつ変わってる。
「なーに。人の顔じっと見ちゃって、やーらし。」
「……やーらし、って…やらしくないよ!!」
そうだよ、
別にじっと見てなんか…。
…見てたか。見てたな…、
やらしいな…やらしくないよ!!(2度目)
「百面相だね、おもしろい」
「…遊んでるでしょ、さいてい」
「はは、ごめんごめん」
てくてく隣をついて歩く智くん。
大学生かー。
私は大学通わなかったから、
どんなところか少し憧れたなぁ。
「大学行けば、変われるって思った。
ちゃんにまた会えた時、
カッコイイって。思われるようにね!
けどさ。女の子達から好かれてチヤホヤされて
…なーんか、思ったような現実じゃなかったよ」
「智くんは昔も今もカッコイイけどなぁ」
そう言うと智くんは口角を上げて、
あからさまにニヤついた顔を
私の方へ向けた。
「な、なに…」
近づいてくる顔。
「……ふふふ。可愛いね、顔赤いよ」
トコトコ先を歩いて行く智くんは、
前よりなんだか
大人っぽくなってた。