第17章 大学訪問
連れてこられたのは食堂の端っこ。
まるで個室みたいに、
壁で仕切られた席に2人座っていた。
「お待たせ、」
雅紀くんが勢いよく扉を開けると、
確かに不機嫌な潤くんの背中。
「おせえー…よ、」
「ごめんね、遅くなって」
ぺこ、とお辞儀すると
潤くんは照れたように黙り込む。
雅紀くんはケラケラ笑いつつ、
お弁当を差し出す。
「翔兄ちゃんのだけでかくね?」
雅紀くんがそう言うと、
潤くんの向かいに座っていた翔くんの
お弁当をのぞき込んだ。
「母さん、過保護だからね」
その意味すべてを理解して、
みんな「あぁ」と笑って頷いた。
「他の2人は?」
残りのお弁当を両手に
キョロキョロしていると、
「たぶん、あれだ。
先輩たちに囲まれてるよ。
お弁当は俺らが渡しておくから
先に帰ってなよ、ちゃん」
「そうそ、じゃないといじめられるよ」
そう言って、笑う3人。
女の子たちのことなのだろう
「わかった、お願いします」
お弁当を3人にあずけて、
私は食堂を後にした。