第17章 大学訪問
「母さんは非常勤で先生するほど、
翔ちゃんが心配でたまらないみたいだしさ」
「それはそうだよ、お母さんだもの」
「翔ちゃんは昔から溜め込む癖あるからね
ほっとくといつも倒れちゃうからさ、
母さんは心配で目が離せないんだよね
だからって非常勤講師しなくたって……」
なんて、呆れてる智くんに
少し笑い声を漏らす。
昔よりかは家族環境が良くなってる
「ちゃんは?
最近また仕事は忙しいの?」
「前と同じぐらい、かなぁ。
今は事務所で仕事が多いから」
そう言うと智くんは、
携帯を取り出した
「連絡先、ちゃんと教えて
またふたりで会おう」
「ふ、ふたりで…」
「そういうの初めてじゃないくせに。
ウブなふりしてドギマギしないでー。もう」
ちがうよ、
思い知ったんだ。
智くんや翔くん。
和也くんや雅紀くんや潤くんたちと関わって
見方がいろいろ変わってきて。
そしたら色んな気持ちに気づいて。
「ずりーぞ、智兄ちゃんだけぇ」
「すーぐ抜けがけするー」
「許さねぇぞー。」
「潤くんが言わないの」
「な、お前らいたのかよー」
もう少しだけなんて、
母親代理の頃の気持ちから
今は違う気持ちに変化して
5人への意識が、変わってる気がして…
「ほら、早く帰ろう」