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母親代理人

第16章 再会






「…ちゃんは、
まだ母親代理人続けるんだよね?」



「今のところはそのつもり。
やっぱりこの仕事が私は好きだから」




転々と移動する中で、

私は色んな家庭環境を見てきた。



ある家庭では家族同士会話がなかったり


ある家庭では仲の悪さから、
顔を合わせれば怪我するほどの喧嘩したり




酷さを見れば目をそらしたくなる、
そんな家庭環境ばかりだったけど



でも最後に必ずみんな、
来てくれてありがとうって


そう言ってくれるんだ。



「また、ここから離れちゃうの?」


雅紀くんがきゅっと服の裾を掴む。



「離れないよ。
もうその規約は私には関係ないから。
勤めて1年弱の子だけ、事務所を
転々とするルールだから」


「良かったー!!」


ふふ、と無邪気に笑う雅紀くん。



「あーあ、それにしてもさー。
お別れの時、潤だけとかずるいよなー」


翔くんが拗ねた口調で言った。


そう言えば確かに…、
そうだったかなー?


あんまり覚えてないや。



「…うっせえ、いいじゃねえか」



頬を赤くして照れる潤くん。



「それにしても皆は大学どう?
やっぱり女の子にモテるでしょー!」


と、褒めたつもりなのに

みんな不機嫌な顔をする



まずい…、怒らせた?




「べっつに嬉しくないし~」

「あんな奇声、耳が聞こえなくなる」

「それそれ。鼓膜が破けちまうよ」

「どっから出てくんだよなー?」

「まるで猿が威嚇してるみたい」



「う、嬉しいから叫ぶんじゃない?
みんなのこと、す、好きだから!」



とフォローしたつもりが
また更に不機嫌にしてしまった。


年頃の男子は難しいな…。






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