第12章 自覚
だいぶ楽になった体を起こし、
フロア(仕事場)に出ると
先輩方が忙しそうに歩き回ってた
「…」
先輩方は私が来たと気づくと、
少し焦ったような顔をして
受け付けの方へ走る。
私が来たらマズかったかな…?
『はよ出せ言うてんねん!!
ノロノロしよって!おんねやろ!?』
『ですから…、お引き取りください』
受け付けで揉めてるらしく、
女の人が騒いでる声と
先輩がなんとかして帰そうと宥めていた。
派手な服だなぁ…。
なんて、顔は見えないが
かなり露出の高い服だった。
『いま話つけたいねんて
ええ加減に出してくれてええやろ』
『橘さんは寝込んでるんです
無理やり起こすのは無理なんです』
『やから、うちが隣で話すねん
橘サンは寝ててええ言うてるやんか』
どうやら私へのお客さんらしい…。
「母さん!!もうええやろ!?
はよ帰れ!迷惑になっとるやろ!」
その声…!
『隆平は黙っとれ。』
やっぱり隆平くんだ。
だとしたら、
女の人は隆平くんのお母さん…?
不安ながら出て行こうとしたら、
お母さんから離れて立ってた
隆平くんと目が合い、
横に首を振り『来るな』って口パク
気づかれないように合図してくれたようで
隆平くんママが彼を見ると
彼はすぐに口をつむいだ。